Underworldの代表曲「Born Slippy」の歴史を紐解く:その1

Underworld

「Underworldの代表曲はBorn Slippyだ」

これに反論する人は、多分いないと思います。それ程までに偉大な曲です。

あのイントロのシンセコード、ディレイがかかったカール・ハイドのボーカル…一度聴いたら忘れられませんよね。

もちろんライブでは必ず披露され、観客全員が両手を挙げている光景は神々しさを感じます(当記事のトップ画像のような感じ)。

洋楽をそこそこ聴き込んでいる方であればご存知だと思いますし、過去には日本でもCMに採用されたことがあり、今でもTV番組でBGMとしてちょこちょこ使用されているので、Underworldを知らないという方でも聴けば「あ、この曲か!」となるのではないでしょうか。

私も初めてBorn Slippyを聴いたときは「あー、これってUnderworldの曲だったのね」と思ったのを今でも覚えています。

そんなBorn Slippyも1995年にリリースされて以来、今年で25周年を迎えます。

当記事では、それを記念してBorn Slippyの歴史を紐解いていきたいと思います。

(記事を書くタイミングがたまたまそうなったってだけの話ですが)

正式なタイトルは「Born Slippy」ではない

歴史を紐解く前に、申し上げておかなければいけないことがあります。

Born Slippyの正式な曲名は、

「Born Slippy Nuxx」(ボーン・スリッピー・ナックス)

です。

「いやいや、別にBorn Slippyで通じるんだから細かいこと言わなくていいだろ?」

と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

実際、Underworld自身も「Born Slippy」と呼称してたりします。

しかし、これには理由があります。

「Born Slippy」と「Born Slippy Nuxx」は、全くの別物なのです。

詳細は後述するのですが、このことを踏まえて、以下をお読みいただければと思います。

1994年頃からライブでは披露されていた

1994年頃のライブ音源を聴いていると、既にBorn Slippy Nuxxが披露されていることがわかります。

流石にこの頃の情報が乏しいため、初披露されたライブがいつなのか、ということまではわかりません。

ちなみに2015年にリリースされた「Second Toughest In The Infants」デラックス盤のディスク4には、

デモ音源のNuxx→1994年に各国で披露されたNuxx→リリースされたNuxx

の変遷がディスク1枚に収録されています。

なお、このディスクには新宿リキッドルームで開催された初来日公演で披露されたNuxxも収録されていたりします。

実際にライブを観られた方が羨ましい…。

1995年「Born Slippy」リリース

そして1995年にシングル盤「Born Slippy」が(多分)ひっそりとリリースされます。

ジャケットと収録曲は以下のとおりです。


収録曲

  1. Born Slippy
  2. Born Slippy Nuxx
  3. Born Slippy Telematic

収録曲を見て気づいたことはありませんか?

そうです。「Born Slippy」と「Born Slippy Nuxx」が収録されていることがおわかりいただけるかと思います。

先述した通り、この2曲は全くの別物なのです。

「Born Slippy」は、いわゆる「歌もの」ではなく、ブレイクビーツっぽいインストゥルメンタル曲です。

「Born Slippy Nuxx」は、「Born Slippy」のB面として収録されていたのでした。

そして、後に「Born Slippy Nuxx」が世界的なブレイクを果たすことになります。

(つづく)